国内にある21座の3,000m峰のうち5座(天気が良ければ、8座縦走できたのに)を縦走した今回のコース。メインは大キレット超え!
沢渡駐車 03:00
満天に広がる冬の星空が我々を出迎える。
それにしても寒い。暑さ対策はしてきたが、寒さに対しては無防備だった。
タクシーをあいのりして、上高地へ。
あいのりした2人は涸沢経由の奥穂高らしいが、我々は岳沢経由の奥穂高。
もしかしたら、穂高岳山荘で再会できるかもね。
タクシーの運転手からいろいろな現地情報を聞きながら20分。上高地に到着。
テーブルに氷が貼っている。松の木も真ん中より上は霜が降りていて白くなっている。
気温3℃。寒すぎる。この先が不安だ…。
かもしかの足場 10:10
岳沢ヒュッテから気温が上昇。汗も出てきて水分補給は必須。
500cc3本では足りない予感がよぎる。
紀美子平 12:40
前回は前穂には登らずに奥穂に向かったのだが、今回はザックを紀美子平に放り出し、水とカメラを持って登頂してきた。地図には片道30分と記載されていたが、実際45分もかかった。ここで気力と脚力と水を消耗してしまう。。。やばい!
前穂高岳 13:25
これから向かう残り7つの峰を眺めようとしたが、槍ヶ岳だけが雲隠れ…。登っている途中と降りている途中では見えているのに、山頂で見えないのは悲しい。
前穂高岳山頂で残りの水が200ml。厳しい。
奥穂高岳 16:30
紀美子平まで戻り、吊尾根、奥穂高岳山頂では喉がカラカラ。もう少しで脱水症状になるところだった!水が無くてかなりのペースダウンを強いられた。大ブレーキ!?上高地から山小屋を経由せず、ここまで一気に上がらないといけないのはわかっていたが、水はもっと多く持っていくべきだった。
写真はジャンダルム
穂高岳山荘 17:30
山頂から電話しておいたから、すぐにチェックインできた。受付の女性はすごく機転の利く、頭の回転の早い人だったのが印象的。大きなテーブルに我々だけの2食分の夕食が並べられる。他の登山客に気を使わなくていいから、これはこれで気楽でいい。
- 宵の明星と奥穂のシルエット(手持ち露出4秒[手ぶれ防止機能のおかげ])
- ご来光(雲海から見える八ヶ岳が、まるで海に浮かぶ島のよう)
- 朝食後の珈琲の煙と朝日
- 涸沢に向かう途中、穂高山荘を振り返る
北穂高岳 10:00
今思えば、大キレットよりも涸沢〜北穂南峰までの岩稜のほうが難易度が高かったように感じられる。登山道のシルシは付いているが、その通りに行くためのルートファインディングが即座にできないと時間がかかる。
北穂山頂かと思って登ったら、そこは北穂の南峰で何も無いのでがっかりする。一度、涸沢小屋までの分岐まで降りてから北穂の北峰まで登りなおす。2度登った北穂の山頂。その見晴らしは最高に素晴らしい!天気にも恵まれて、遠く槍ヶ岳まで見え、南は南アルプス、富士山まで見える。
北穂高小屋 10:15
絶好の大キレット日和!?オレンジ色のデッキに座って、カレーを食す。もしかしたら最後お食事になる可能性もあるので味わって食べる。覚悟はできている?
北穂高小屋から約350m下る。谷側を向いて降りた場合、万が一、ザックが引っかかってそのまま谷に投げ出されるリスクを考慮して、登りと同じ山側を向いた姿勢で下りる。だから視界が狭くなってルートが見つけづらい。。。
そう感じながら下り始めてまもなく、上から落石の音が…。見ると、直系30cmくらいの岩が落ちてくる。「このままでは右腕に当たる」。体の左側を軸にして右側を山から離し、くるっと開いて谷側を向いた。…落ちていく石。その向こうに上ってくる人が2人!!!「あぶなーい!、ファー!!」大声で叫んだら聞こえたようだったが、彼らの手前で落石は止まった。アブねーっ!そして、数十分後、彼らとすれ違った。
下山でも、下だけじゃなく、上にも気をつけないといけない。
飛騨泣き 12:00
途中にあると思われた飛騨泣きだったが、いつ通過したかわからず…。剣岳でも「カニの横バイ」をいつ通過したのかわからなかった。たぶん、ここが「飛騨泣き」と呼ばれている場所ではないかな!?
A沢のコル
ここまでの下りは最高にスリリングで面白かった!四肢を使い、3点支持で確実に下りる。○印、矢印を目標にして少しずつ前進するのだが、その印までの距離が長いとき、その間のルートを間違える=ここが怖い。人の手が全く入っていない岩稜のため、完全に自己判断で進む。「この岩が浮石ではないか?」「この岩に体重を乗せて大丈夫か?」右足はココ、左足はココ。ときには左足で踏んでいる岩でジャンプして右足に乗せ替えたり、設計しながら進んでいく。数秒後に命があるかどうかもわからない。何かが数センチずれれば命は無い。そんな恐怖を傍らに置き、全身全霊をこめて今この岩稜を乗り越えながら前進する。この瞬間、瞬間の連続に「生きている」という充実した崇高な時間に満たされる。まさにここは天界なのかもしれない。
ここから約300m南岳南壁を登る。予想していたより大きく見えない南岳。大キレットを越えてしまうとモチベーションがさがっている。
獅子鼻 14:55
北穂からここまでの稜線を振り返り見ることができる展望台。
北穂高小屋はまるで天空の城のようだ!
南岳小屋 15:00
モチベーションがさがっている中、槍ヶ岳まで行くか?
南岳小屋
南岳小屋で宿泊することにした。明日の天気が良ければ槍に行ってみる。
チェックイン後、なんだか天気が回復してきている。今回は槍までは行けないことになっていたのかも知れない。前穂山頂で槍だけ見えなかったし。
天狗原 08:45
雨が強まったり、弱まったり。下山道は岩場になっていて途中には鎖がある難所だった。経路を見つけるだけでも大変なのに、滑るリスクも伴うので良い経験になった。途中、またしても雷鳥に遭遇。
ババ平 10:00
沢の水の音も低くなってきた。標高も低くなっているのだろうな。
まだ、下のほうに雨雲があったので雨具を着たまま下りていく。
槍澤ロッヂ 10:40
ここで雨具を脱いで、下りはじめること100mで雨が降ってきた。
ここまで下りていると林の木々に守ってもらいながら下りることがてきた。左足が少し濡れたけど問題なし。それより梓川にもやがかかって幻想的な川の流れになっている。雨の日にしか現れない滝や、碧い滝が出現!
氷壁の宿 徳澤園 13:10
明神館 13:50
初日、2日目とサングラスもかけずに歩いていたから目がやられている。ここで「クランベリーとブルーベリーのミックスジュース」で目を回復させる。
上高地 15:00
雨の中を下りてくるのは慎重になるせいか、結構時間がかかった。
上高地お土産売り場2階の食堂には何となく登山者が入りにくいので、手前の小梨平食堂に入る。しかし、今は営業時間外らしい。仕方がないので上高地の河童食堂に行くと、本日の営業は終了しました。とさ。
お土産を購入して、タクシーで沢渡へ。
上高地ホテル
昨年と同じく、さわんど温泉で日帰り入浴。体重計に乗ると、体重登山前から4kg減。普段、少食の私がおかわり御飯していても体重は減る。
やっぱり風呂はイイね!疲れがとれるというのは本当だよね。入浴後にはジェラート!だって、脱衣所にあったポスターを見たら無性に食べたくなるもの。
こんなもん、旨いに決まってる!
山麓@昼ごはん 17:30
温泉から3件目、やっと昼食にありつけた!
ちょうどお店を閉めたところらしかったが、急遽、蕎麦を作っていただいた。
旨い!信州の蕎麦。さらには「ねぎ味噌のおにぎり」絶品!
諏訪湖SA
八ヶ岳PA
「八ヶ岳の玉蜀黍、2本で250円」そのキャッチで購入!店内に入ってクロワッサンも購入!
トイレに寄って手洗い場で手をかざすと水が出てくる。出てきた水の重さに驚き、気づかされた!「普段、こんなに無駄に水を使っているのか!」ということに。
初狩PA
「行ってみたい」と思っていた大キレット。行ってみればただの登山道だったが、北穂から降りるときのルートファインディングは視界が狭くなるため難しく、丸印までの経路を間違えると凄く危険だった。全く信用できない岩稜は半分以上の体重は乗せられず、とてもスリリングだった。
足だけの登山より、登攀と呼ぶべき四肢を使ってよじ登る岩稜が好みなので、クライミングとかボルダリングのほうが求めているものに合っているのかも知れない。
これでもう国内に挑戦したい登るべき山はなくなってしまった感がある。なぜなら、大キレットを越える前は憧れとか目標とかいう地位にあったものが、越えた後はすでに経験としてそこを越えるスキルは身につけてしまっているからだ。去年までは達成した後、すぐに次の目標設定ができていたが、今回はそれが無い。少し淋しい。。。
これからはロードレーサーでヒルクライムでもすっかな。